魔弾のピアニスト若林顕 from TVプロデューサー:平野雄大(FACTORY)
ガキの頃からロックンロールを聞き漁ってきた野蛮な耳にはクラシックは綺麗すぎるといつも思っていた。
しかし、初めて若林顕さんの音を聴いた時、その音の魂にぶっ飛んだ!音のブロックが次から次へと降ってくる感じ。
これは当たったら痛いヤツだ。これはロックの音だ。彼は完全に僕のクラシック感を捻じ伏せた。夢中で音に聴き入った。
時に暴力的に、時に愛撫するように、指先一つで音質、音量をコントロールする一人芸術に度肝を抜かされた。
そもそもクラシックは楽譜があり、型を学び、それを頒布するものだと思っていた。
ごめんなさい。全くの理解不足だった。
クラシックとは型を学び、型を壊すものかもしれない。
気になって他の人が弾く同じ曲を聴き比べてみたが、全然違う。
同じ譜面でこうも違うものなのか。彼らは今まで聴いてきたピアノの音だ。
若林顕の音はこれはピアノなのだろうか?魂を突きつけられているような、
胸ぐらを掴まれ、「お前は本物なのか!?」と詰問されているような、そんな気にさえなる。
まるで打楽器、グローブで連打されているような錯覚を覚える。
時にリトル・リチャードのようにシャウトで叩きのめし、
時にエルヴィスのようにエロティックに囁き、
時にサム・クックのように優しく癒してくれる。
変幻自在の一人楽団。
まさに魔弾のピアニスト。
今、彼の音を聴くのが楽しみで仕方ない。
僕らは知っている。若林顕は本物だ。